月夜の翡翠と貴方【番外集】


私は涙を拭いながら、苦しい思いを、口にした。


「…なんでルトは、私のそばにいてくれるの…………?」


歪む視界の中で、ルトが目を見開く。

「…どういう、意味だよ」

だって、もう、分からない。

レンウの言葉は私を責めたて、ルトの行動は私を混乱させる。

情けなくて、悔しくて。


私は止まらない涙で濡らした瞳で、精一杯にルトを見つめた。


「…私は、ルトのことすごく好き」

「…うん」

「でももうわかんない」


ルトは、優しいから。

きっと、私がなんの役にも立たない女だと気づきはじめても、嘘をつき続けるだろう。

そんなの、耐えられない。

生きていけない。


「私は、ルトの隣にいるべきじゃないんだよ………」


零れた弱さは、彼の瞳をより一層見開かせて。


< 49 / 455 >

この作品をシェア

pagetop