涙は心の血です。
天国が地獄に変わる日。
「行ってきまーす!」
この日、入学式を控えていた私は母と胸を踊らせながら駅に向かった。
ぶかぶかで、どこかぎこちなさがある制服に、新品で輝いている制靴。腕にはずっしりと重たい革の制カバンと、大きくて紺色のサブバッグ。
いかにも新入生らしい格好。
歩いていると、
「今日、入学式ですか?」
と聞かれてしまう程だった。
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