副社長は溺愛御曹司
ヤマトさんが長い脚を組んで、私を見た。



「神谷は結局、俺を甘やかすね」



その微笑みに、顔が熱くなるのを感じる。

そんなんじゃないです、ただ、喜んでほしいの。

少しでも、ストレスを減らしたいの。

だって、それが私の仕事ですから。


ん、とヤマトさんが、怪我をした手を差し出した。



「俺は、神谷に任せられることは、なんでも任せる。約束する」

「…空き時間は、これからもつくってよろしいですか?」

「他の時間は、ぎちぎちに予定入れてね」



優しい目を見あげながら、怪我にさわらないように、そっと手を握る。

ヤマトさんは、安心させるように、ぎゅっと私の手を握り返すと。

嬉しそうに笑って、あいたほうの手で、私の頭をくしゃくしゃっとなでた。





「頼もしいな、俺の秘書さんは」





涙が出るかと思った。







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