少年少女と恋愛観察





幼稚園の頃から美貌に恵まれていた密は、
成長に連れ益々人目を引き付ける美少年へと育った。

ずっと同じ学校に通い続け、
この高校に入学したての頃も、例外無くヤキモチ焼きな女子生徒から嫌味や嫌がらせは仕掛けられて来たが、
今では彼女達ももうとっくにほとぼりが冷めたのか諦めたのか私とはメッキリ関わりを持たなくなって来た。

その代わりにか、学校で密かに密の(密だけに)ファンクラブが作られたとの噂も。


ずっと幼馴染である私にだけベッタリな密に対し、
私は何とも言えない複雑な心情を持っている。

天使とも呼ばれる年中ニコニコした彼は、
実は極度な人見知りなど、誰も知る事は無いだろうね。



―――…まぁ、そんな事は置いといて…。


「何で叩くのよ!痛いじゃないの!」

いきなり引っ叩かれた頬に手を当て、大袈裟に言ってみる。

すると密は悪びれず口元に微笑みを浮かべる。

「痛かったの?ごめんごめん!
チビだから痛くないかと思ったよ。」


いきなりチビ呼ばわりされ、私は頬が熱くなるのが分かる。

「な…何よ!
チビはか、関係ないでしょぉっ?!」


…確かに、高三にして身長150cmというのは、あまり望ましくはないが。


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