Garnet~大好きの伝え方
一歩ぐらいしか離れてない距離が、こんなに遠くに感じるのは、初めて。

シャボン玉のように薄い薄いガラスの床が広がっているように、急に、足も気持ちも笑顔も凍りつく。

「なんでここにいるんだ、加奈。さっさと帰ればいいのに」

「え、えと、ヨシ、私、私ね」

それでも、私はヨシのそばにいたい。

だから、今にも底が抜けてしまいそうなガラスの世界に、立つ。

大丈夫。きちんと気持ちを伝えれば、大丈夫。

ヨシが無視なんかできないくらい、私の気持ちをありったけ。自分の気持ちを信じて。

私は言った。

「私、ヨシが好き。心のそこから大好きです。だから私と、ちゃんと付き合ってください」

「無理」

そして呆気なく、

「……え?」

「聞こえなかった? 無理。僕は加奈の彼氏にはなれない」

「……そ、な……」

「もっとはっきり言おうか? これ以上僕につきまとうな。鬱陶しい」

「――っ」

私のすべては、拒絶された。

言葉や思いは、今、届かなかったんじゃない。

届いて、弾かれてしまった。

ヨシの、冷たくて硬い表情に、全部。

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