Garnet~大好きの伝え方
北川が、奥歯を噛み締めた。

ああ嫌われているなというのが、それでよくよくわかった。

僕がこれだけ嫌われているのは、彼がそれだ加奈を好きだっていう証拠だ。

僕のように自信がないままじゃなく、彼の脳内ビジョンには確実に、加奈と一緒に笑顔でいられる未来が思い描かれているんだろう。

そう、加奈を幸せにする未来だ。

僕なんかよりもずっと、頼りになる。

僕は親指で、職員棟を指差した。

「加奈がさ、そこでへたり込んでるんだ」

「……」

「わりぃけど、あとはお前に任すよ。俺じゃ彼女を救えない」

北川が、明らかに僕をいぶかしんだ。

いったいなにを言っているんだろうコイツは……そういう顔をしている。

わからないだろう。

僕が彼女から離れることが正解だなんて。どんなに僕のことを悪く言ったって、僕がそれを自認していることなんて。

まったくわからないだろう。

だれも、わかりゃしないさ。

だれも。
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