Garnet~大好きの伝え方
記憶を辿って訊いてみても、おへそを曲げた麻里亜ちゃんは、知ぃーらなぁい、とそっぽを向いてしまった。

小さなアヒルが行進してるかわいいプリントのお弁当箱から、タコさんウィンナーをひとつぱくり。答えてくれない。

朝、私と机を入れ換えて、でも結局もとに戻されちゃった悠里くんが、苦笑した。

「はは、また意地悪なんだから麻里亜さん」

ガサガサとビニール袋をあさってコンビニのおにぎりを取り出す彼は、だけど、言葉とは裏腹にとても目がキラキラしていた。

どんなに言ってたって、麻里亜ちゃんの意地悪がただのおふざけだってこと、そしてそんなおふざけこをすることすらまとめて、彼女を好きなんだなって、見ててわかる。

ただ同じ空間にいるなら友達だってできる。

でもこの二人は、一緒にいるだけで恋人同士だって思わせられる。

私とヨシじゃ、叶わないし敵わない世界観。

溜め息――が出てた。
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