トールサイズ女子の恋【改稿】
 地道に転職活動を続け、今日はある出版社の面接だ。

 この求人は転職サイトで見つけたもので、会社の規模は小さいけれど普段から読んでいるファッション雑誌の『clover』を発行している『四つ葉出版社』なので、すぐ履歴書と職務経歴書を送付した。

 他にも書類を出した所はあったけれど、まさか書類選考を通過して面接まで進むと思わなくて、大学の就職活動以来のスーツを大急ぎでクリーニングに出して、いざ面接の当日を迎える。

「でわ、選考の結果は後日改めてします」
「は、はい。本日はお忙しい中、ありがとうございました」
「そんなに堅苦しい表情しなくても、大丈夫ですよ」

 私の面接を担当した男性は、ニコニコと笑顔で場を和まそうとする。

「ありがとうございます。失礼します」

 私は椅子から立ち上がると、男性は私を見上げる。

 ああ―……、今まで身長のことで散々振られてきたから、何となく表情で分かるんだよね。

 "俺よりも背が高い"って。

 私はそんなことを思っているに違いないと、そう思って男性をじっと見る。

「そんな風に見つめられると、照れちゃうなー」
「はぃ?」

 私は男性の意外な言葉に驚いて、すっとんきょうに変な音程で返事をしてしまった。

「すいません、失礼します」

 私は慌ててお辞儀して面接した部屋を出ていき、四つ葉出版社を出て行った。

 面接の結果まで時間があるから、次の転職先を探しておこうかな。

 そんなことを考えながら数週間後、ポストに四つ葉出版社から採用の通知書が投函されたのだった。
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