トールサイズ女子の恋【改稿】
　私は仕事を終え、今はＳ駅構内のカフェにいる。

　Ｓ駅で待つように言われたんだけど、まだ水瀬編集長からは仕事が終わったと連絡が来ないので、それまでこのカフェで休もうと決めたのだ。

　頼んだドリンクのグラスにストローを差して一口飲み、冷たいアイスカフェラテが体中に広がる。

　冷たいドリンクを頼んだのは、此から水瀬編集長と２人きりで食事に行くことにそわそわとしてしまい、気持ちを落ち着かせるため。

　水瀬編集長が来るまで駅構内の通路を眺めることが出来るカウンターの席に座わると、通路は沢山の人たちが歩いている。

　Ｓ駅は様々な路線が停車する場所で、時間的にもこれから帰宅するサラリーマンだったり、私と水瀬編集長のようにＳ駅を出たところで食事でもという人たちで通路を通る人で一杯だ。

「まだ連絡がこないなぁ」

　通路を歩く人を眺めたり、スマホの画面を弄りながら見たりを繰り返して水瀬編集長からの連絡を待つ。

　そしてカフェに入って３０分が過ぎ、私から仕事があとどれくらいかかりそうかと聞いたら急かしているように思われるだろうし、Ｓ駅で待っていて欲しいと言われてるから駅から離れる訳にもいけないよね。

　眉間の皺を深ーくよせながら考えてると、スマホが何度も震え、画面に水瀬編集長の名前が表示されたのですぐ通話ボタンを押した。

「お、お疲れ様です！」
『遅くなってごめん。四つ葉出版社を出たから、あと１０分かかるんだ』
「大丈夫です。今、Ｓ駅構内のカフェにいます」
『分かった。本当にごめん』
「気をつけて来てくださいね」
『うん…』

　終話ボタンを押して、飲み物をおかわりせずにカウンター席に座りなおした。

　水瀬編集長との通話の最後で『うん…』と言う言葉が落ち込んでいるように聞こえ、私ももう少し気のきかせた言葉を伝えれば良かったかも。
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