あの花が咲く前に②





「・・・。」


「あ・・・れ?

 刺さねえの?」


俺はナイフを持った

彼女の手ごと掴んで

俺自信をさそうとした。


「ダメ!!」


少女は勢いよくナイフを投げ捨てた。

俺の手をナイフがかすめて

少し血が出た。


「・・・。」


少女は顔を赤らめて俯いている。


「最初から刺せないってわかってんなら

 刃物なんて物騒なもん

 人に向けんじゃねえよ。

 ・・・あと

 女は「俺」じゃない方が

 かわいいぞ。」


俺は血の出て無いほうの手で

彼女の頭をポンっと撫で

その場を去った。

・・・彼女の顔は

より赤くなった気がした。




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