ZAKURAN
一瞬曇る私の表情など、夏香は気付かない。
「犯人はまだ捕まってないとか言ってたけど、絶対闇少女の仕業だよね!」
「…。」
殺人事件=闇少女。
もはやそんな方程式が、世界に浸透してしまっている。
まあ…
あながち間違ってはいないけど。
「ほら夏香、ちゃんと前見て歩かないと危ないよ」
話題を変えよう。
そう思ったときだった。
「そんでよー」
「ギャハハ、バカだろ!」
ちょうど自分たちが曲がろうとしていた道から、違う制服を着た男二人組が歩いてくる。
夏香にぶつかる。