キスマーク
一つ摘んで口に入れると、濃厚な甘さが広がってくる。ちょっとしつこいくらいの甘さ。
でも、疲れている時はこの位の甘さが身体を癒してくれる。
コーヒーのほろ苦さと絶妙なマッチング……
そんな事をぼんやり思いながらコーヒーを飲んでいると、
「私も常務からお声がかからないかなぁ~」
なんて、麻里の言葉。
つい、ドキッとしてしまう私。
「お声って……」
「葉山さんみたいにハイグレードな相手とのお見合い話を持ってきてくれないかなってねぇ。大体、なんで葉山さんよりも年上である私達をスルーするかなぁ~」
ねぇ、詩織?
と、口を尖らせながら同意を求める麻里に、ついさっき常務からふられた“見合い話”が何だか言い出しにくくなる。
でも、
「あのさ、麻里。実はさっき常務からお見合い勧められたんだよね」
と、ストレートに言ってしまうけど。