キスマーク
「私なんかの……どこがいいの?」
「強気な性格も、弱さを隠しているところも―…今、俺が知っているシオリさん全てだよ」
「わたし、は……ヒロが思っているほど大人の女なんかじゃない……ただ、ズルイだけの女よ?年上だからって甘えさせるような余裕もない―…」
「構わないよ。それなら俺がもっと背伸びしてシオリさんが甘えられるような男になるから」
そんな言葉を聞いて、本当の気持ちを隠すなんて無理。
私にとって、最高の告白だもの―…
「―…ヒロっ」
ポロポロと涙を流してヒロにぎゅっと抱きついた。
そして、
「好きよ……私もヒロが好き―…っ」
声を震わせて、そう伝えた。
どうして、ヒロと離れられなかったのか。
どうして、ヒロとは良くて一哉とはもうダメだったのか。どうして、
久瀬さんという、あんなに条件の良い男性とのこれからに気持ちが乗り切れなかったのか―…
年齢や、キャリヤや、結婚までの道程とか……私が本当に選びたかった選択肢はそんな事じゃなくて、
ただ一つ。
“ヒロ”という一人の男性を望んでた。
計算も何もない。
「好き……なの……」
震える声とあふれ出す想いと共に、ただ純粋に“ヒロが好き”っていう素直な気持ちを伝える。