キスマーク


シャワーを浴びて部屋に戻ると、上半身は裸のままでベッドに寝転がるヒロの姿が。



「シャワーどうぞ」


「んー」


「浴びないの?」



「浴びるよ。でも、先に番号教えて」



携帯電話を片手に言ってくるヒロ。



「シオリさん、また会ってよ」



そう言ってニコリと微笑んでくるヒロは年下のくせに色気たっぷり。



その微笑みで何人の女をおとしてきたのか―…なんて思う。



「―…気が向いたらね」



「じゃあ、連絡先教えて」



強請る様に甘えた声。



“また会ってよ”イコール、“またやろうよ”



そんな事くらいわかる。


わかりながらも、交換してしまった連絡先。



身体の相性は良かった。



一度関係を持てば、二度も三度も同じ。



そんな風に思うなんて、この一ヶ月で随分、冷めた女になってしまったものだ……



「ちゃんと俺のも登録しておいてね」



上機嫌にヒロが言う。






連絡先を交換した、この瞬間。


もう既に私の身体にキスマークが残されているなんて、



この時はまだ、


まだ気付いていなかった。





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