想いは硝子越しに
戸惑い
「で、新生活はどうなの?未~沙ちゃん♪」
「どうって何が?」

お昼休みに使ってる中庭の大きな木の下でお弁当を広げてるとなっちゃんがからかうみたいに話し掛けてきた。

なっちゃんこと遠藤奈津美ちゃんは高校に入ってから仲良くなった子だ。同じクラスで活発で明るいから何時も沢山の友達に囲まれてて私もすぐに打ち解けた。

「しらばっくれないでよ、ったく~!突然出来た優しい紳士なパパとイケメ~ンなお兄様との新生活だってば!」
「…なっちゃん……」

私はちょっと大袈裟に溜め息をついてみせた。

なっちゃんはすっごくいい子なんだけど、好奇心旺盛なとこがある。

そういう所はなっちゃんらしくて大好きなんだけど、今回は何て言ったらいいか判らなくて言葉に詰まっちゃった。

「…パパさんはすっごくいい人だよ。お母さんも仕事辞めて久しぶりの主婦業だ~!なんて言って楽しんでるし……」
「へ~っ、よかったじゃん。」
「…ん…そうなんだけど、ね……」
「何?何か問題でもあるの?」
「ん~、問題があるわけじゃないんだよ?すっごい上手くいってるし、うん。」
「…一体どっちなのよ、それ。」

私の微妙な言い方になっちゃんは顔をしかめてる。

そうだよね…でも私も自分で何が言いたいかよく判ってないんだ。

あの初めての出会いから時はあっという間に過ぎていった。

4人で暮らす新しい家を見つけて引っ越しして。生活が少し落ち着いてからお母さんとパパさんの婚姻届を4人で一緒に出しに行った。

この年で恥ずかしいし式はあげないって言うから、その代わりに奮発して美味しいレストランに行こうって言い出したのは確か私だったかな。

お母さんが朝だよって起こしてくれて、パパさんがスーツ着てご飯食べながらおはようって挨拶してくれる。

あぁ、父親の居る家族ってこうだよなって、家族っていいなって凄く思った。

でも、暫くたってから少し違和感を感じたの。
……お兄ちゃんとパパさんの事だ。

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