妖乱譚(ようらんたん)~幻魔神戦記~
鉄太が通る林にはその様子を伺う影が三つ










「…あれが、妖に愛された女の乗る車ですか?」










木の上にいた影が低く掠れた声囁く










「ああ…。間違いないよ…」











うっとりと呟くのはその木の下にいた細い影











「襲わないの?人間よ?」










その隣には妖艶な女の姿










「ああ。妖や他の人間なら好きなだけ襲え。あの姫には傷一つ付けるな」

「…そんな大層な女には見えないけど?」















つまらなそうに呟いた瞬間、女の首筋に刃が当てられる












「…二度目はないと思え。あの姫とお前は比べる必要のない差がある」










女はそれに動じず、それ処か興奮したように細い影にしがみつく












「そう…、貴方はそうでなきゃ…。氷のように冷たい、刃のように鋭い貴方…」










女には目もくれず、細い影は優しく呟く












「やっと会えるよ…




















…ねぇさま」











首から下げられた小さな袋を右手で握りしめた
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