冷たいアナタの愛し方
ジェラールはほとんどと言っていいほど2階から降りて来ない。

身体が完全に回復するまでの間は離宮から出ない方がいいと思っていたのでありがたいことだが…いわば密室でふたりきりだ。

最初は緊張して、2階から物音が聞こえる度にびくびくしていたオリビアだったが――いつの間にか爆睡してしまっていた。


シルバーは守護神のようにベッドで眠っているオリビアのすぐ傍で伏せをしていたのだが、誰かが階段を降りてくる物音がすると、ぴくりと耳を動かして顔を上げる。


「…ルーサーはどこに行った?」


降りてきたジェラールがきょろりと辺りを見回してオリビアを見つけると、喉が渇いたのかキッチンでグラスに水を注ぐとそれを飲みながらオリビアに近付いてくる。

ジェラールが敵ではないとわかっていつつも時々オリビアを怒らせてしまうということを知っているシルバーは、少しだけ鼻の頭に皺を寄せた。


「そんなに警戒するな。こいつ…男とふたりきりなのによく平気で眠れるな」


「うゎん」


僕も居るけど。


そう小さな声で言ったがジェラールはシルバーの頭を撫でてベッドに腰掛ける。

…オリビアの寝顔は美しく、金茶の睫毛がとても長くて無意識に手を伸ばすと、シルバーに脚を踏まれた。


「なんだ?“俺の女だ”とでも言いたいのか?」


そうだけど何か?


暗闇の中瞳を金色に光らせてそう訴えてみたが、やはりジェラールにはわかってもらえずに鼻先でぐいぐいジェラールの身体を押してベッドから離れさせた。


「わかったよ何もしない。それよりお前…オリビアがどこに居るか教えてくれ。…一応知り合いだからどこで何をしているか気になる」


「…ゎん」


…この馬鹿。


そう悪態をついたシルバーは、一向に気付かないジェラールを馬鹿にしつつベッドにのしっと上がるとぴったりオリビアにくっついて大きな欠伸をした。
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