冷たいアナタの愛し方
ヴァルキリーコールが巻き起こる中、オリビアはシルバーから降りて怪我を確認した。

巨人に思いきり絞め上げられたシルバーの口の端に血がこびりついていたのを見つけると、ドレスの裾を破いてそれで血を拭ってやりながら呼びかける。


「シルバー、大丈夫?どこか痛い?歩ける?」


「わん!わうわうわぅ」


平気だよ、と言いたいのか顔をぺろぺろ舐めまくられて安心したオリビアがシルバーの首に抱き着くと、そこでようやく衛兵たちと共に闘技場の中へジェラールとルーサーが駆け込んで来た。

闘技場内は巨人のばらばら死体と大量の緑色の血が。

ジェラールが何か呼びかけてきたが歓声にかき消されてなんと言っているのかわからず、首を下げて乗ってと合図してくるシルバーに飛び乗ったオリビアは、何か叫んでいるジェラールの脇を通り過ぎてルーサーの前で立ち止まって大声で呼びかけた。


「まさか落ちるとは思わなかったわ!」


「心臓が止まるかと思ったよ!怪我は!?」


「私にはないけどシルバーを診てあげて!」


ルーサーがまだ何か言いたげな顔をしていたが、いち早くここから出て行かないとコロシアムの外で興奮した観客たちにもみくちゃにされる恐れがある。

ジェラールは巨人の右目に刺さっている剣を抜くと、シルバーのお尻を叩いてひとつしかない巨大な柵がある出入口を指した。


「走って行け!先に城に戻ってろ!全速力だぞ!」


「わん!わふっ」


それを受けてシルバーが文字通り全速力で駆けようとすると、急にずしっと重たくなって首を捩って見てみると…ルーサーが乗っていた。


本当はオリビアしか乗せたくないのに。


恨みがましい目で見ていると、ルーサーがあろうことかオリビアの腰を抱いて落ちないように気を遣いつつウインクを寄越してきた。


「僕も一緒に乗せて行ってくれないかな」


「……ゎん」


やだ。


そう文句を漏らしつつ、力強く地面を蹴ったシルバーは後で沢山オリビアに撫でてもらおうとご褒美を想像しながらコロシアムを飛び出した。
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