「同じ空の下で…」
第17章 Re:
■第17章 Re:




「何を着ようか…な…。」


一人、広過ぎる部屋でブツブツと呟きながら、明日の常務との会食へ来て行く服を選んでいる。

明日の会食は老舗の割烹料亭で、11時から先方と会う事になっているそうだ。

こう言う時に、直感で相応しいと思える服が無く、さっきからクローゼットの服を右から左へと何往復も見ていた。


入社式の時のスーツ…、却下。

お気に入りのワンピ…、場の雰囲気に相応しいと思えない。(むしろふざけてる気がしてくる)

コーデに迷った時の切り札の少し落ち着きのあるワンピースを取出し、候補として挙げてみる。

結婚式にお呼ばれした時用の背中が少し開いているデザインのワンピにも目を止めてみるが…、どれだけの気合いの入れようなんだと勘違いされそうな気もしてくる。

静かにまた戻す。

「…これかな?」

切り札ワンピをもう一度隅々までチェックをすると、そのまま部屋のドアの上から吊り下げた。

これがいい。和でも洋でも、別段差しさわりのない、落ち着いたダークブルーのボトム部分と、白いシフォンがかったトップス部分。

敢えて自己主張をするデザインでもない。

これに、ジャケットかカーディガンを合わせればいいのかなぁと。




明日は、一度会社に向かい、常務と合流して社用車で会食先に向かう事になった。

現地集合とかじゃなくって良かった。
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