Storm -ただ "あなた" のもとへ-
7.不穏な風

  *

さやかとフェリックスが、二人に言い含めていたのだろう。

涼がいる間も、去った後も、しばらくはミハイロフとオラジュアンは大人しかった。

さやかにフェリックス以外とは結婚しないと言った。

さやかの統治によるダバリード王国も安定期に入っている。

内部の統制は取れ、身の危険を感じることも少なくなった。

利益も潤沢に生み出している。

オランジュアンとミハイロフが持っている採掘権はおいしいが、ビジネスとして契約を結ぶことにしても、いい条件で結べると思う。

それを自分が画策すれば、結婚は免れる。

綺樹は手の平でクリスタルのダイスを転がしながら、思索を練ってみる。

携帯が鳴った。

いくら音が改良されたといえ、いつだってこの機械音は心臓に悪い。
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