Storm -ただ "あなた" のもとへ-
4.波紋

   *

まずはアメリカ大陸に渡った。

西園寺を出た以上、自分が自由に使える金は、ライナの所にいた時に貯めたバイト代だけだ。

さすらいながら、稼ぐ必要があった。

海外で働くという初めての経験において、語学は英語だったらなんとかなりそうだ。

ビザの問題があったが、働き口はみつかったし、泊まる所も見つけられた。

ホテルとは名ばかりの部屋は隙間風が入り、寒い。

スチームは壊れているらしく石炭のストーブが置いてあった。

見せてもらった時、石炭ストーブという存在に思わず笑って、しばらく泊まることに決めた。

ほとんど水しか出ないシャワーで一日の汗を流すと、石炭ストーブに継ぎ足して火力をあげる。

ドアがノックされたような音がした。

酔っ払いが通ったのか。

涼は無視をした。

もう一度ノックされたのに、身構えた。

こんな時間、日付が変わって2時間ほどの時間に、自分に来る客はいない。

涼の英語の問いかけに返ってきたのは、日本語だった。

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