Storm -ただ "あなた" のもとへ-
11.gift

   *

ウルゴイティのペントハウスに戻ったのはよかった。

一時間でも帰れそうだったら戻ってくるようになった。

着替えをとりにきたり、食事だけでも。

多分自分のアパルトマンだったら、帰ってきづらくて、本当に戻ってこなく
なっていただろう。

夕食が取れそうなときだけ電話をかけてくるので、それ以外の日は気ままだった。

ジムに行ったり、飲みに行ったり。

そうしていてくれと言ったのは綺樹だったが、そこまで追い込んで仕事をさせる羽目になった原因を作ったのは自分だ。

歯がゆかった。

この1週間は寝に帰ってきたことはなかった。

二日に一遍は必ず顔を見せるが、体調が転がるように悪くなっているのがわかる。


「事務室でちょっとでも寝てるか?」


グラスにペリエを注ぎ差し出す。


「ああ、細切れで寝ているよ」


綺樹は微笑してグラスを受け取る。

嘘だな。
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