この恋は、絶対に秘密!
バレないかとヒヤヒヤしつつ上目遣いで課長を見ていると、彼はふう…と一つ息を吐き出す。



「お嬢様の逃亡の片棒を担いだ、だなんて知られたらえらい目に遭うだろうなぁ……」



苦笑を漏らしてそう言いつつも、彼は何かを決めたように浅くゆっくりと頷く。



「……でもいいよ、今晩だけ泊めてあげる。
そういうスリルを味わうのは俺も嫌いじゃない」

「──…!」



クスッと悪戯っ子のような笑みを口の端に浮かべた彼も、私が初めて見る表情だった。


まさか、本当に泊めてくれるとは……!

二人でイケナイコトをしているような気分で、不謹慎だけどワクワクしてしまう。



車はゆっくりと夜の街を走り出す。


瀬奈じゃなく絵瑠として、
一夜だけの未知の世界に足を踏み入れた瞬間だった。








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