キスから始まらない恋。




理由は一つ。




…昨日、私は振られたのだ。







約4回目。


「…約って言うのは言わずに失恋したことが2回ほどあるからです」


でも、今回のは直接だった。

そして即興で「ごめんなさい」





ガンっ


「あーもーなんなのよ――!!夕子はあーんなにラブラブなのにぃ」


塀を蹴っていると、これまた新品のローファーが傷つくのが分かったので、やめておいた。



代わりにチッと舌を打つ。






夕子とは違う高校になってしまった。


…まぁ、元々頭の作りが違うことは知っていたから別にいい。

彼氏さんと同じだそうだ。
羨ましい。


初恋の人をなんとかして忘れようとして、結果約4回も失恋したのは失敗だったと言う他ない。




「…約って言うのは言わずにしっ……」  バッシ――ン!!



「…百合。あんたそれ二回目よ。私を飽きさせないで」

「お母さん。暴力だよ。泣いちゃうよ、警察来ちゃうよ?」

「さっきあんた自分で言ってたじゃない。頭の造りが違うって」

「それは夕子とだよ!あんたと比べた覚えはないわい」

「…んじゃ、もっと叩いたら中身が出てきて答えが分かるかもね」

「そんな酷いことってないよ!!せっかくの入学式なのにぃ…」

「はいはい、こんなことに付き合ってあげてんだから、感謝なさい」

「こんなことって……」






キ―ンコーン



「ん?……ヤバッ」
< 9 / 19 >

この作品をシェア

pagetop