その恋、取扱い注意!
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翌朝、目覚まし時計の音で目が覚めた。
頭にガンガン響く目覚まし時計を消そうと、目を閉じながら手だけ動かす。

「っう……頭、痛い……」

目覚まし時計を止めて、のそっとベッドに起き上がった途端に視界がグラッと揺れる。

頭痛に加えて、貧血って……。

くやしさと不安が入り混じり、なかなか寝付けなかった。

立ち上がるけれど、ちょっとつらい。
痛み止めを飲めば大丈夫かな。

黄色のタンクトップにスキッパー襟のブラウスを重ね、サックス色のパンツを穿く。

ドレッサーの引き出しから、頭痛薬の箱ごとバッグに入れて下へ行く。

「おはよう。朝食出来ているわよ」

母がコーヒーを淹れて、持ってきてくれる。

「お姉ちゃんは?」

証券会社に勤めているお姉ちゃんは、結婚後も赤ちゃんが出来るまで続けるらしい。

「もう下りて来るんじゃないかしら。何か用があるの?」

「ううん。いつもお姉ちゃんの方が早いから」

「そうね~ 美海、今日は珍しいわねぇ」

「ご馳走様でした」

食器を流しに持っていくついでに、こっそり頭痛薬を飲む。

早く治まりますように。

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