その恋、取扱い注意!
満員電車で40分間揺られ、会社に着くともうぐったりだった。
でも頭痛薬のおかげで、頭痛は治まった。

更衣室に入るなり、菊池さんと話をしていた久我さんが飛ぶようにやって来た。

「おはよう。昨日は大丈夫だった?」

あ……久我さんから借りたヘアースプレー返さなきゃ。
高野先輩の顔にかけて、放り出してきちゃったんだよね。

「まあ……ヘアースプレー、忘れてきちゃった。あとで買って返すね」

「いいのよ。携帯用だし」

「ううん。使わなくて済んだんでしょ? そいつ、諦めてくれた?」

「……よくわからないの」

高野先輩から電話はない。
諦めてくれたのか……そう願いたいけれど、まだわからない。

「ねぇ、今日美里ママのお誕生日らしいの。お祝いに行かない?」

「どうしようかな。体調も良くないし……」

「美里ママのお誕生日よ? お祝いしてすぐに帰るっていうのはどう?」

それなら……。

「うん。プレゼントは何がいいんだろうね?」

「私はさぁ――」

久我さんは前もって美里ママの好きな香りを聞いていて、アロマオイルと花束ということで決まった。
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