その恋、取扱い注意!
それは先日、やっと取れたお盆のパリ行のお客様のカードだった。一面に大きく書かれたCXLの文字。

「このお客様、キャンセルされたんですか?」

「なにを言っているんだ!? 顧客から昨日料金を預かってきたんだぞ。それなのに、なぜこれが回ってくるんだ。航空会社を調べたら、座席がキャンセルされていた。なんてことをしてくれたんだ! お盆の時期なんだぞ」

「私はキャンセルした覚えはありません」

「君がしなくてだれがするんだ? ちゃんと記録がここに残っているだろう? 航空会社にキャンセルを入れたのも君の名前だ」

「ええっ!? まさかっ?」

予約カードの隅に目をやる。
すべて記録を残しておくために、印鑑を押さなければならない。それを扱ったのは……安西。

「もう一度リクエストしたが、取れるかわからない。なんてミスをしてくれたんだ」

私じゃない。誰がそんなことを……?

「でも本当に知らないんです!」

涙目になって訴えていた。

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