その恋、取扱い注意!
「お、おいっ、ミミっ」

湊に腕を掴まれて、身体が引き戻される。トンと湊の胸に背中が当たる。

「湊っ! いったいなんなのよう」

「はぁ~」

ふんわり仕上げた髪に湊の吐息がかかる。

「お前な、自覚ないだろ?」

「えっ?」

不自然な姿勢を正し、湊へ向き直り小首を傾げる。

「自覚って?」

なんのことかさっぱりわからない。

「ブーケトスって、次の花嫁になりたいヤツがもらうもんだろ? お前は既・婚・者」

「あ……」

「あ……ってな? 本当に俺の奥さんの自覚あるのか?」

湊の少し拗ねたような顔が可愛い。もっとからかいたくなっちゃう。

「忘れてた……」

と言うのは嘘だけど。そう言うと、湊は開いた口が塞がらないと、文字通りの顔つきになった。それからスタイリッシュな銀フレームのメガネの奥の瞳が怪しく光った。

「じゃ、思い出させてやるよ」

「えっ?」

手首を掴まれた私は、湊に引っ張られるようにして、皆がいる場所とは反対の方向へ。

その時、ブーケトスの場所が、にわかに沸いた。
お姉ちゃんがブーケを投げたのだろう。

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