tender dragon Ⅱ

距離なんて、もう10センチもない。

照れるどころじゃない。

心臓が激しく波打って、今にも破裂してしまいそうだった。

「唇噛んじゃダメだよ」

緊張すると出てしまう癖。


希龍くんといるとどうしても出てしまう。

前みたいにあたしの唇をツツーッと指でなぞって、ジーッと見つめる。


「なんか…エロいね」

「えっ!?」

そうだ。

あたし今日は芽衣のグロスを…

「可愛い。」


可愛い、なんて呟いて。

あたしの唇を捉えたまま離れなかった視線は、バッチリあたしを見た。

クスッと笑って、髪をクシュクシュと撫でられる。

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