恋の華が舞う季節
「アイツって最近ここに越して来たらしいよ」

「まじで~~!」

「つか、このクラスにアイツがいるとか超最悪なんだけどっ」


“彼”の存在は今や一気に女子のネタ。

何度も何度も同じような話題ががクラス中を駆け巡り、それを飽きずに騒げれる女子の団結力はほとほと驚かされる。

私は頬杖をつきその目の前の光景を流れるように見つめていた。



その時、一瞬空気が変わったかのような錯覚に襲われた。


例のネタにされている彼が何の躊躇いも無くつかつかと勢い良く、自分の席に座る。

ばんっとまだ新しい鞄を机の上に投げつけた。


しんと静まり返った教室に堂々と自分の席に座る彼は、今のこの空気が読めていないの?


それとも神経が図太いの?


誰もが彼を見つめていた。

刺す様な視線が見ているだけで分かる。

なのに彼は全く気にする様子もなく、ただ辺りを眺め、そして私と視線が重なった。

私は思わずばっと目を逸らす。


間もなくして、恒例の“自己紹介”が始まった。


< 2 / 254 >

この作品をシェア

pagetop