あの日、あの夜、プールサイドで


俺のいるべき場所はこの愛児園。


静枝さんと真彩とたくさんの兄弟たちのいる、この愛児園。



だけど……
寧々は違うんだな。



寧々が帰る場所は、母親の胸の中。



誰よりも寧々を愛してくれる、あの人の胸の中が寧々の帰るべき場所なんだ……。




静枝さんに抱きしめられながら、そのことを悟った俺。




小さく小さくコクンと頷くと


「…彼女が幸せになれるように、みんなで応援しましょう。ありがとう、光太郎。優しいあなたが、誰よりも優しくて傷つきやすいあなたが私は誰より大好きですよ?」


静枝さんはそう呟いて
俺のこめかみに優しく優しくキスをした。





夕日の差し込むプレイルーム
泣きじゃくる親子に
静かに見守る俺と静枝さん




そんな俺たちを夕日と真彩が見ていた。





幸せになれますように


誰よりも寧々が幸せになれますように――……





俺は見たこともあったこともない神様に、心からそう祈った。


< 28 / 307 >

この作品をシェア

pagetop