あの日、あの夜、プールサイドで


アスリートとカネ


なんだか一緒にするのが申し訳ないような組み合わせにドン引き。


先生らしからぬ月原の言動に終始驚きを隠せない、俺。



キョトンとしたまま月原をじっと見ていると


「吉良。競泳やってみろよ。」


「…。」


「もしかしたら競泳はどん底からオマエを救ってくれる、唯一の武器かも知れねぇぞ??」


そう言って月原は俺の背中をポンと叩く。






唯一の武器…ねぇ……。






やってもないのにそんなコトわかるワケねぇだろ??





そう思いながらも月原に一礼をして職員室を後にした、俺。



ポカポカの陽気
5月の爽やかな風の吹く窓の外の世界を見ながら、どうしたもんか、と俺は深く深く考え込んでしまっていたんだ――……



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