ツラの皮



テーブルの端に浅く腰を掛け文句を逆巻いている俺を見て、対極の椅子に腰掛けた麻生が面白いモノを発見したかのように眉を跳ね上げた。




「あれぇ?週末鈴ちゃんとデートだったわりに随分ご機嫌斜めだね。」




コイツとはこの仕事を始めてからの付き合いで、結構長い。


それに輪を掛けて麻生は人の心情を読むのに長けているので、俺の機嫌を読むのは朝飯前なのだろうが・・・。






「何でデートだ。しかも何でアイツだよ。」





言った覚えはない。


絶対にな。







平静にかわしてみたものの、推測能力にも長けているらしい麻生は飄々と追撃する。







「仕事の鬼がいっそがしい土曜日に無理矢理休日取るって、鈴ちゃんの休日に合わせたデート以外に考えられないからね。」






だからなんでアイツだよ、というのは堂々巡りになるだけなので止めた。



コイツは俺がどう思う前に、俺がアイツに気があると断言したような奴だ。



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