ツラの皮



「ぷっ。噂、されたいんだ?」


「そういうこっちゃねーよっ。」


「分かってるって。高遠は鈴ちゃんの『特別』に指定されたいだけなんだよねー?」




コドモを諭すような口調で頭を撫でられて、八つ当たり気味に牙を剥く。




あけすけな上、見るからに危機感に乏しそうな鈴は人に警戒心を抱かせない。


安直に恋愛感情を抱かせるものでもないが、その気安さの延長で恋に発展しないとは言い切れず、なんやかんやと現場に溶け込んでいるのを傍で視ている俺はハラハラしどうしだ。



恋は盲目とか、痘痕も笑窪とか、狂い咲き、とか笑いたければ笑えばいい。


尤も不愉快の半分は、俺に構わせろっ、という欲求不満でもある。








「うーん。外部が気になるなら一先ず形骸的に手中に入れとけば?」


「……どーやって。」





言っとくが、本気で好きだと伝えてみたし、それが恋愛だと知らしめるように押し倒しもして、それでも通じなかったんだぞ。




これ以上、何をやったらイイんだっ。



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