蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


「あ、はい! 女子社員みんなからです。すみません、持たせたままで……」
「悪いな、わざわざ」
「安部先輩が中心になってくれて……本当は安部先輩が来るハズだったんですけど、急用ができちゃって。
プリンなんですけど……」
「覚えてたんだ。俺がプリン好きだって」

課長は、甘いものはあまり好きじゃない。
けど、プリンだけは別で。付き合っていた頃、コンビニでいくつも買って半分こしながら食べたのを思い出す。

知美と、お見舞いを何にしようかって話になった時、真っ先に浮かんだのがその事だった。
だからケーキ屋さんに寄って、プリンを買ってきたんだけど……。

それを素直に言う事はできなくて。

「今日、松浦もお休みだったんです。
それで……松浦もプリンが好きだから」

松浦がプリンを好きかどうかは分からないけど、嘘をついた。

そんな私に「松浦も、か」と呟いた後、課長が袋からプリンを取り出す。



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