蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


覗き込むみたいにして聞かれて、慌てて目を逸らして首を振る。
課長はそんな私を笑いながら、プリンをテーブルに置いた。

「あとでコレのお礼をみんなに言わないとな。
吉野も食べてくだろ?」
「あ、いえ、私は……」
「抹茶プリン、好きだったよな。
今でも変わらない?」
「……はい」

覚えていてくれたのが嬉しくて、声が小さくなった。
入っていたスプーンを私の前に置いてから課長が取ったのは、プレーン味。

珍しい味があれば手をだしてみる課長だけど、最後は、普通のが一番だなっていうのが課長のいつものパターンだった。
だから、プレーンだけ3つにした。

変わってないといいなと勝手な期待を込めて。

「課長も……変わらないですね」

目を伏せながら言うと、課長が優しく微笑んだ。





< 104 / 225 >

この作品をシェア

pagetop