蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


「まぁそういう事だから、吉野、課長に声かけておいてね」
「えっ、私無理です!」
「無理じゃないって。そんなに心配しなくても、欠席でも怒らないから」
「でもっ、私なんかより適任が……」
「ほら、直接誘ったりしたらギラギラしてるって思われそうじゃない。
そしたら課長だって来ないでしょ。今さら社内の女に狙われたって困るだろうし」
「だったら誘わない方が……」
「その点、吉野ならそういうオーラ皆無だから。
縁談決まってようが、罪悪感なしで来れそうじゃない」

縁談。
その言葉にぐっと喉の奥が苦しくなる。

なるべく考えないようにしているけど、課長の噂は社内全体に広まっていて、いたるところで課長とキレイな女性が一緒にいたって話を耳にした。
お似合いだとか、そういう話まで。

本当だったら、昨日の時点で知美に相談しようと思ったけど……。
応援してるって言ってくれた時の事を思い出すと言えなかった。



< 142 / 225 >

この作品をシェア

pagetop