蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
◇真剣な気持ち



翌日、土曜日の9時。
家に戻ると、アパートの前に松浦の姿があった。

驚いて近づくと、松浦も私に気づいて、「朝帰りかよ」と明るく笑われる。

「あ……えっと、そういうんじゃなくて」

事実なだけにうろたえると、松浦は「それより」と私に携帯を差し出した。

「あ、私の携帯……」
「夕べ、店に忘れていっただろ。気づかなかったのか?」
「うん……全然気づかなかった」

受け取りながら苦笑いすると、松浦が「しっかりしろよ」と笑う。
それから、少し言いにくそうに話を切り出す。

「ところでさ、本当に朝帰りしたわけ? ……課長と?」

多分、訪ねてきたのはこれが本題だと分かった。
携帯の事もあったのかもしれないけど、一番の目的は、課長との事を聞きたかったからだ。

昨日、あんな事を言っちゃったんだから、気になって当たり前だ。





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