蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


ほとんど使われていないって事で、課長は仕事に集中したい時はここでひとりでいる事が多い。
普段は明るいけど、本当は、静かで誰も干渉してこない場所を好む人だから。

社員の中では、こっそり“課長室”なんて名前がつけられたりしてる第三会議室の窓からは、ブラインド越しに夕日が差し込んでいた。

そんな様子を眺めてから、斜め前の席でパソコンを叩く課長をバレないように見つめる。

茶色の混ざる髪は、少し長め。
モデルみたいに整った顔は笑うとあどけなさが見えたりもするけど、今は真剣そのもの。

社内ではいつもしっかり締めているはずのネクタイを、今は少し緩めていた。
元々首元が苦しいものは嫌いみたいだったから、ネクタイは課長にしてみれば窮屈なだけなのかもしれない。

私はとても似合っていると思うけど。

腕まくりしてるYシャツ。
濃いグレーのスーツ。

仕事をしている課長の後ろ姿にドキっとしてしまうのは、私だけじゃないハズだ。


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