蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—
『返事……聞かせてもらってもいい?』
『……よろしく、お願いします』
途切れ途切れになった、小さな声。
それでも先輩は嬉しそうに笑ってくれて、私も笑顔になる。
『じゃあ今日から敬語はなしな』
『えっ』
『呼び方も、“悠介”に変更して』
『えっ、そんなの無理です……』
ははって笑った先輩が、『ゆっくりでいいから』って優しく笑う。
あまりに恥ずかしがる私を見て、先輩が練習してみて、なんて言い出して。
『ゆ、うすけ』
『うん。もう一回』
『悠……介』
そんなぎこちない名前を何度も呼んで。
10回くらい名前を呼んだ時、くんって、繋がっている手を引かれた。
びっくりしてると、微笑んでいる先輩の顔が目の前にきて……そのまま二人の距離がなくなった。
初めてのキスは突然すぎて目を瞑るのも忘れてたけど。
少ししてから離れた先輩が大切そうに見つめてくるから、ドキドキと嬉しさで涙が出そうになった。