蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


『松浦が休みだって聞いたから、お見舞いにでも行こうかと思って』
「え……休み? あ、でも、そういえば今日一日見なかったかも」

松浦のデスクを見ると、いつもは散らかっている机の上には何も置かれていなくて。
ラバーシートが蛍光灯の光に反射して光っていた。

『優花……それ、松浦が聞いたら泣いちゃうと思うけど……。
でも、それもおもしろそうだからお見舞いついでに話そうね』
「……言わないでください」

電話口の向こうで、ふふって声が聞こえる。
言う気なんじゃないかってハラハラしていると、知美が続ける。

『もう仕事終わる?
私は片付いたからいつでも帰れるんだけど』
「あ、うん。大丈夫。
10分後に会社の前でいい?」
『了解』

受話器を置いた後、帰り支度をして……課長のデスクをもう一度見ようと顔を上げた瞬間、悲鳴をあげそうになった。



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