蜜恋の行方—上司と甘い恋をもう一度—


渡されたのは、課長のお見舞いに買ったプリンの入った紙袋。
鞄の中をゴソゴソあさっている知美を、ケータイでも探しているのかな、なんて眺めていた時、ポンって音と一緒にドアが開いた。

――その途端。

背中をドンと押されて、エレベーターから勢いよく飛び出す。
意味が分からないまま振り向くと、にっこりと笑顔を向ける知美がいた。

「やっぱり、優花が持って行った方がいいと思うわ。
色々と昔話もあるだろうし。
あ、鞄、私が借りておくわね」
「え……っ、え……!?」
「逃げてばかりいると、いつまで経っても忘れられないままよ。
一度飛び込んだ恋なら、きちんと最後までやり遂げなくちゃね」
「待っ―――」

手を伸ばしたけど……。
知美の極上の笑顔を隠すみたいに、パシンとドアが閉まる方が先だった。

私の手に残されたのは……課長へのお見舞いだけ。



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