たとえ愛なんてなかったとしても
何度も触れるだけのキスを繰り返しているうちに、俊輔の腕が私の腰に回された。

もっと深くキスをしようとすると、それを手で止められて。



「正直に言うと、俺はまだキャシーが好きだよ。欲しいと思ってる。

キャシーにとって一時の気まぐれでも、遊び相手の中の一人でも、それでも......。

だけど俺は、一番辛い時に支えてくれたミヒのことを、裏切れない」



目は私を熱く見つめているのに、俊輔ははっきりとした口調で私を拒絶した。



「そんな顔するなよ。
お前にそんな顔されると、どうしたらいいのか分からなくなる」



俊輔は困ったような顔をして、私の頭をなでた。


私は一体どんな顔をしていたんだろう?
自分では平常心のつもりでも、表情管理ができていなかったのかもしれない。

俊輔の熱い目がごまかしきれないように。
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