たとえ愛なんてなかったとしても
「私の心配してくれるんですね。
やっぱり、優しいんだ......」


優しい、というか二人きりの時に、変なものを出されたら、俺にも疑いの目が向くから迷惑なだけだ。

ただでさえ俺は今、疑いの目を向けられているのに。


それよりも、やっぱり?
レイナとは初対面のはずなのに、やっぱりという言葉はおかしくないか?

もしかして以前会ったことがあるのかと記憶をたどってみても、全く心当たりがない。



「慣れてる人は家に置いていきますよね、さすが炎彬さん。

うっかり持ってきちゃって......、私、プロとしてもまだまだですね。

この趣味の世界にも最近目覚めたばかりで、分からないことばかりなんです。
色々教えてくださいね」



以前会ったことがあるのかどうかなんてことは、レイナの言葉で簡単に吹っ飛ぶ。


うん、だから、レイナのはにかんだ笑顔はすごく可愛いんだ。

レイナみたいな子に笑顔で教えてくださいって言われれば、たとえ知らなくても全力で教えてやりたくなるし。


ただし、レイナの言っていることはどう考えても俺には教えてやれそうもない。
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