たとえ愛なんてなかったとしても
結局撮影は一時中断し、レイナのメイクを直している間に、なぜか一方的に俺が悪いと決めつけられ、スタッフからの説教を聞くはめになった。

もちろん本当の理由は言えるわけもないから、苛立ちながらも反論できない。


もう少し大事にされたっておかしくないのに、なんで、こんな扱いなんだ。





真面目に生きている俺に対してひどい扱いだと憤慨しながらも、なんとか撮影を終わらせた。



「それじゃあまた連絡する」


「はい。
あっ、そうだ。
私に例の趣味がないからって、遠慮しないでくださいね。

心の準備はできてますから!
思う存分やっちゃってください!」


「だから、それは......」



そうだった、この誤解が解けてなかったんだ。
これでは、嗜好が同じ人としか付き合えない人から、特殊な趣味があるけど、相手にはなくても付き合える人に変わっただけだ。


良い笑顔を浮かべているレイナに慌てて否定しようとするけれど、次の仕事があるので失礼します!と走り去っていってしまった。



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