Daddy Long ....

夕食の支度を終えて、父の帰りを待つ。
時刻は既に7時半を過ぎていた。

今日の朝の言葉を思い出す。
今日の帰りの時間を聞いたら、いつも通りと言っていた。

それならそろそろ帰ってきてもいいはず。
帰りが遅くなったり、帰ってくるかわからないような時は、何も言わずに出て行ってしまうのが合図だった。

だけど今日はいつも通りと、
そう答えていた。

「変なの…」

テレビを見ながら待っていたが、それから1時間しても父は帰ってこなかった。
私のおなかもそろそろ悲鳴をあげはじめる。

だけど、一人で先に食べていようものなら、きっとまた体中を殴られてしまう。

それなら我慢したほうがましだ。

それからさらに2時間ほど待ったが、父は帰ってこない。
さすがに私も限界で、ご飯を食べることにした。
時刻は10時半。

約束と違うのはおかしいとは思ったが、父が帰らないことに関しては珍しいことではないので、今日は気が変わって帰らなくなっただけだと納得した。

私は洗濯物を干し終えると、キッチンへと向かい米を研いで炊飯器にセットし、そのまま自分の部屋に向かった。

そこで眠気と闘いながら宿題を終えて、大分遅いお風呂に入った。
いつもは1番風呂は父と決まっていたけど、帰らないのなら問題ない。

お風呂からあがり、戸締りをチェックして私は部屋に戻って眠った。


静まり返った暗い部屋にすぐに意識がなくなっていく中、遠くのほうでサイレンの音が聞こえた気がした。
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