【完】結婚させられました!?
私に合わせることもせずに、ずんずんと
歩いていく先輩の、私を掴む手が、強く
て。
近くの公園に入ったとき、思わずその背
中に声をかけていた。
「先っ、輩……!」
息も絶え絶えにそう言葉を押し出すと、
先輩が立ち止まって私を見下ろした。
にこりともしてない、口元。
「お、怒ってますか……?」
恐る恐るそう尋ねると、先輩は、眉間に
皺をよせた。
「……ムカついてる」
……要は、怒ってる、と。
「な、なんで……」
「なんで?───……わかんない?」
先輩はそう言うと、私を冷たく見下ろし
て、その口元に妖しい笑みを浮かべた。
「……嫉妬したんだよ」
「……え」
「お前が、他の男なんかにチョコレート
を渡すから」