【完】結婚させられました!?
わぁ、バレた。
ほんとは十分くらい前に、やること終わ
って暇だったんだけど、自分から面倒事
に飛びいるほど、お人好しでもなく。
プラプラと、手持ちぶさたに徘徊してい
たんだけど、さすが先輩。目敏い!
恨めしそうに私をジロリ、と見てくる先
輩に、ヘラっと笑って見せると、先輩は
不意にその表情を緩めた。
「ま、あとは力仕事で、心優には危なく
て任せられないから、いいけど」
「やった!」
「あ、でも一つだけ、お願い」
先輩はちょっと裏のありそうな笑顔で、
そう言って私を手招きした。
どうしたんだろう、と首を傾げながら近
付くと、先輩の唇が、私の唇にくっつい
た。
チュッ、とかわいらしいリップ音を残し
て離れていく唇。
先輩がクツクツと喉を鳴らして笑った。
「心優、赤くなりすぎ」