【完】結婚させられました!?




先輩の、代わり……?



そう聞いたとき、胸が傷んだ。軽率だと
か、そんな言葉で済まされるもんか。



「先輩に、甘えてたんだ」なんて言葉は
、残酷で残虐だった。



大倉に変な期待を持たせてしまった。付
け入る隙を与えてしまった。代わりにし
たっていいから、なんて。



そんな台詞、言ってほしい訳じゃ、無か
ったのに。



これ以上私に触れてこないで。溺れて、
欲しくないの。



だって傷付くのは、大倉なんだから。



「……先輩の代わりなんて、いないよ」



震える声でそう言うと、私を抱擁する力
が少しだけ、緩まり。



やっと映し出された大倉は、悲痛そうに
唇を噛み締めていた。



「……だって、大倉は、大倉だもん」



ふ、と少しだけ微笑んで、そう呟く。











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