【完】結婚させられました!?
張りつめたようなその雰囲気に、思わず
息を止めるほどに。
その時、先輩と一瞬、視線が絡み合って
。───ニヤリ、と。
悪戯っぽく口角を吊り上げた先輩に、胸
が甘く音をたてたその瞬間。
───ストンッ……
凛と構えたその姿勢から、弓が真っ直ぐ
放たれて、吸い込まれるように的の真ん
中へと突き刺さった。
わぁっと沸き上がる歓声と拍手。
騒々しい中で、私はただただ呆然として
居た。
───カッコいい……。
それが私が先輩に恋をした瞬間で、そし
て、弓道に目覚めた瞬間でもあった。
一目惚れなんかあり得ないって思ってい
たあの日。
弓道をする先輩に一目惚れしたのは、紛
れもなく私だったんだ───……。